紙を束にして綴じているだけのモノなのに、まるで生きているように見える本に久しぶりに出逢いました。
ページの端々からこぼれんばかりに人の心を満々と湛え、眩しく輝いている本に、です。
大久保雄策さんが、昨年2024年6月に旗揚げした文藝復興の出版社・COMPASS社の記念すべき第1弾、藤岡陽子さんの『僕たちは我慢している』。
都内の中高一貫男子校の高校生たちが、それぞれの事情を抱えながら超難関大学受験に挑んでいく物語です。
私のような、受験や、塾通いや、いわゆる進学校とは縁遠い世界を生きてきた者からすると、物語の舞台は初めはどこか天上の異世界のようでした。
けれども、登場する男子高校生たちが、ほとんど厳しい「修行」と言ってもいいような道行きを通して、次第に天使のような光を身に帯びていくにしたがって、私の中で何かが変わっていきました。
健気な天使たちの、言い訳のない果敢な挑戦に胸が熱くなりましたし、最後はもう時も忘れて「頑張れ、がんばれ」と念じながらページをめくっていました。
天使の守護者・母親たちや先生たちも実に素敵でした。
読後、作中の男子高校生たちに惜しみないスタンディングオベーションを贈りながら、不思議に思う人もいるでしょう。
彼らへのエールが、なぜこんなにも自分を力づけ、励ますことになるのか、と。
あなたと、その理由についてじっくりとお話しをする日が、今から待ち遠しいです。
発売は2025年5月13日予定。
しかのいえ本の茶屋でも必ず販売いたしますので、ぜひお手に取ってみてくださいね。
*
来週の日曜日、3月9日の講演会から、大久保雄策さんの小説作法ゼミナールの第6期がスタートします。
思えば、3年前にこのゼミをスタートした時と、状況は大きく変わりました。
当時は、大久保さんは「小説復興」という大志を改めて己が胸の内に確かめ、本格的に人生の再スタートを切ったばかりでした。
それが今では、藤岡陽子さんという素晴らしい盟友と力を合わせてついにその志を形にし、世に問おうとしているわけです。
大久保さんは、藤岡さんと二人三脚で創り上げた本を1冊でも多く読者の手元に届けるべく日々東奔西走しています。
そして、これは私も大久保さんの近くに居すぎて本当にうっかりしていたのですが……
この変化に伴って、大久保さんの小説作法ゼミも大きくその意味を変えていました。
ここはもう、フリーのベテラン文藝編集者が主催する、小説執筆のためのただの勉強会ではなくなっていました。
ここは、日本有数の独自な文藝出版社の社長が、自らが理想とする作品の書き方を直に指導してくれる場になっていたからです。
客観的に考えてみれば、自分の小説作品を世に出したい人にとって、こんなに理想的な環境は、ちょっと他にないのではないでしょうか。
大久保さんがCOMPASS社の第2弾以降の準備をどのように進めているのか、具体的なことは私にはわかりません。
しかし、です。
もしもあなたが、大久保さんの教えを十全に活かして、大久保さんを唸らせ感動させる原稿を書き上げたら。
果たして、これを出版しないという選択肢が大久保さんにあるでしょうか。
「COMPASS社の次の本は、私が書いてみせる」
そんな方のご参加を、心からお待ちしています。
まず大久保さんの話を聞いてみたいという方は、講演会だけのご参加もできますよ。
ではでは。
「暮らし」から「つながり」と「仕事」を作る実験室
暮らすLaboratory しかのいえ
公式サイト https://shikanoie.com