3/4にアップした
こちらの文章の続きです。
「本」がサポートしてくれる
四つ目の行為「脱出」についての続き。
ここのところ、
年を追うごとにハードなものに
なってきているように見える、
人間を取り巻くさまざまな環境の変化は、
このレベルの行為を
サポートしてくれる本の必要性を
増々高めているように思います。
よろしければどうぞご一読ください。
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【これから消える本 これからも残る本】
◆2.本が助ける「4つの行為」とは?⑦◆
4のレベルで
何よりも求められているのは、
人が己の無力を決然として受け入れ、
サバイバルするための生きた知恵です。
様々な「行為」を開始する手前で、
「無為」の状態を
整えるための作法です。
あれこれの「やり方」を
小賢しく吟味する手前で、
己の「在り方」を
見つめ直すための内省です。
心理学の用語で言うならば、
「レジリエンス・resilience」
(耐久力・復元力)を
着実に鍛え強化する方法です。
レベル3までの行為に
応じる「本」たちは、
読者に何らかのベネフィットを
与えることで評価されました。
しかしレベル4の背景に
しばしば横たわる
破壊された日常の流れにあっては、
それまでベネフィットとして
通用していたものたちは、
残念ながら
ほとんど意味を失ってしまいます。
そういう困難な状況を
生き抜くための力を得られないなら、
レベル4で格闘する読者にとって
本など最早何ものでもありません。
この力のことを、
あえて「ベネフィット」と
呼ぶこともできるかもしれません。
しかし少なくともそれは、
レベル3までの
あれこれのベネフィットと
同列のものとしては
並置できない何かでしょう。
あえてベネフィットという
言葉を使うとするなら、
それはベネフィットがベネフィットとして
機能しなくなってしまったことを
乗り越えるための
ベネフィットだとでも
言うしかありません。
(つづきます)
「暮らし」から「つながり」と「仕事」を作る実験室
暮らすLaboratory しかのいえ
公式サイト https://shikanoie.com