音楽という鏡

本の出版

庭の柿の木の枝に新芽が吹いてきましたよ、北区上十条しかのいえです。

3/12(日)、しかのいえ本の茶屋は、大久保雄策さんの小説作法ゼミのため、
御書印の受け付けも含めて休店です。

悪しからずご了承くださいませ。

しかのいえ本の茶屋のご案内・アクセス

昨年12月18日から始まった、大久保雄策さんの「小説作法ゼミナール」が今日の午後、ゼミの最終回を開催して修了します。

ゼミは、大久保さんのテキストに対して事前にゼミ生たちから寄せられた質問と、その質問への大久保さんの応答をまとめた資料を使って進行します。

今日のゼミの資料の、大久保さんからの応答の中に「倒叙法」という言葉が出てきました。

これは、推理小説で用いられる物語の展開の仕方です。

倒叙法では、冒頭で犯人を明かして、そこから犯人の動機を探るお話が始まります。

物語の最後に犯人が分かるのではなく、それを転「倒」させて「叙」べていく。

だから倒叙法なのでしょう。

小説の例でなくて恐縮です、映画『アマデウス』を思い出しました。

時は19世紀、舞台はオーストリアのウィーン。

冒頭で老音楽家サリエリのショッキングな自殺未遂シーン。

直後に彼のモーツァルト殺しの告白があり、そこから物語がスタートしていたっけ。

サリエリが自殺しようとしたのは、どうやらモーツァルト殺しの罪の意識に耐えかねてのことらしい。

でもホントに彼が殺したの。

仮にそうだとしても、何でまたそんなことを。

こんな映画の幕開けでした。

観始めたら終いまで観ずにはいられないという、見事な展開が最後の1秒まで続きます。

音楽を扱った大好きな映画に『ザ・コミットメンツ』と『ブラス!』があります。

共に、時は20世紀。

前者はアイルランドのダブリンが舞台で、若者たち+おぢさん1名がソウルバンドを組む話。

後者の舞台はイングランドのヨークシャー。

炭鉱町の渋いブラスバンドの、健気な活躍が描かれていました。

これら2つの映画の筋の運びは倒叙法ではありませんでした。

でも、3つの映画には共通点があるようです。

人間の事情や歴史を超えて、音楽がどこかで永遠の世界に通じているように見えるところです。

いつでもどこでも、音楽は人間の喜びも悲しみも超えたところからやってきて、生きた人間の熱を借り、美しく鳴り響く。

その美の残酷を鏡にして、人間たちの俗世の悪戦苦闘が鮮明に映し出される。

小さなものでいい。

いつか自分も音楽を題材に、そういう物語を書いてみたい。

大久保ゼミ最終日の朝に思ったことを、備忘メモ代わりにここに記しておきます。

4/9(日)、大久保雄策さんの第2回目の講演会を予定しています。

第二期の小説作法ゼミナールのキックオフイベントです。

ご興味ある方は、ぜひお見逃しなく。

ではでは。

「暮らし」から「つながり」と「仕事」を作る実験室
暮らすLaboratory しかのいえ
公式サイト https://shikanoie.com

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