Rube Goldberg machine

本の出版

これが時々無性に見たくなる、北区上十条しかのいえです。

2/19(日)、しかのいえ本の茶屋は、コンパス文藝倶楽部読書会のため臨時休店です。

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今日の午後は、大久保雄策さんを囲んで、大久保さんが編集を手掛けた佐藤正午さんの小説『ジャンプ』の読書会を開催します。

『ジャンプ』では、登場人物たちの人生の流れに思わぬ方向から横やりが入り、予想もつかないような展開を遂げていった末に、読者は、

「え?そうなっちゃうの……」

という着地点に連れていかれます。

よくご存じの方も多いあのピタゴラ装置のように、いろいろな動きがパタパタパタパタッとつながっていき、最後にぴょこんと「ピタゴラスイッチ」と書かれた旗が立つような、そんなイメージです。

1910年代にアメリカで活躍した漫画家、ルーブ・ゴールドバーグ (Rube Goldberg)は、簡単にできる単純なことを、様々なカラクリの複雑な連携によって実現させる機械装置を作品の中にたくさん登場させたそうです。

このことにちなんで、ピタゴラ装置のような仕掛けは、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン (Rube Goldberg machine)呼ばれることがあります。

こういう機械装置を作るにはインスピレーションも大切でしょうが、それだけでは絶対に組み立てられません。

やってきたひらめきを元に、ゴールから逆算して部品ひとつひとつの形や重さ、部品同士のつながり具合や作動の仕方を計算し、整えていかなければ、決して完成させられません。

機械工・佐藤正午さんの計算は正確であり、部品の仕上げは実に丁寧で、組み立ての手腕は超一流です。

また上手いだけでなく、好きでなければ絶対にできない、そう思います。

たとえば『ジャンプ』には、登場人物たちの「行動」という部品を連結し、交差させ、方向を転換させていく大きな装置として次のようなものが登場します。

・バー
・コンビニエンスストア
・公共の交通機関
・ターミナル駅
・デパート
・病院

大きな機械装置の中を転がりながら、人物たちの行動を触発し誘導する小道具には、

・リンゴ
・一杯のカクテル
・一足の靴
・香水

こんなものが使われていました。

そういえば佐藤さんの『身の上話』では、「飛行場」や「バスターミナル」が主要な装置として用いられ、「宝くじ」が大切な小道具として登場していたっけ。

小説を読むだけでなく書くことにも興味を持っている方々が集う今日の読書会では、佐藤さんが作品の中で「何を」書いていたのかだけでなく、「どのように」書いていたのかについても、ごご意見を聞いてみたいと思っています。

写真はルーブ・ゴールドバーグ・マシンの一例「Self-Opereting Nspkin」。

ヒゲおじさんがスープをすくうスプーンの動き(A)が、どんなふうにB、C、Dと連鎖していくか、確かめてみると面白いですよ。

ではでは。

「暮らし」から「つながり」と「仕事」を作る実験室
暮らすLaboratory しかのいえ
公式サイト https://shikanoie.com

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