今日は「インディペンデントデー」な、北区上十条しかのいえです。
3/9(火)、しかのいえ本の茶屋は定休日。
今週の店開きは明日、3/10(水)からですよ~。
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つい先日のこと。
早朝、何気なくつけたテレビでやっていた「明日へ-支えあおう-是枝監督×女子高生 ~震災3年 福島を描く~」から目が離せなくなり、最後まで観てしまいました。
この番組は、福島の3人の女子高生たちが、是枝裕和監督のサポートを受けながら、映像を使った表現の制作を通じてそれぞれの2011.3.11と向かい合う姿を描いたドキュメンタリー。
3人の真摯で健気な姿勢と、制作の最中、不意に訪れる洞察や気付きに対する痛々しく瑞々しい反応に打たれたし、彼女たちに優しく寄り添う是枝監督の、こと制作に関しては一切妥協しない姿勢も素晴らしかった。
3人の内の1人、映画作りに挑戦していた女子高生の、制作途上の作品を評して是枝監督が言いました。
「モノローグがそんなに重要ですか?」
彼女は日頃、学校では演劇部に所属して脚本の執筆なども手掛けている人。
世の理不尽に対する憤りや叫びのモノローグ(独白)は彼女の重要な表現手段のひとつでした。
作っていた映画の中でも、3.11によって福島が強いられ、当事者でなければ推し量りがたい苦境への反発のモノローグは随所に差し挟まれていて、是枝監督の一言はこの点を真正面から衝いた、かなり厳しいものでした。
言葉になっていないのに伝わる怒りがあり、悲しみがある。
あからさまな独白だけでは掬い切れない、表し切れない、人の心模様がある。
ならば描くべき「現実」は、モノローグの向こう側にあるのじゃないだろうか?
正確な言葉を思い出せなくて恐縮です、是枝監督はこういう趣旨のことをおっしゃっていました。
映画を作っていた女子高生は、是枝監督の評を受けて作品を見事に進化させていきました。
モノローグそれ自体には、きっと良いも悪いもないんでしょう。
しかし、モノローグの明快に淫し、浸ることによって、容易には見えてこない人の姿に目を凝らし、聞こえてこない人の声に耳を澄ます努力が閉ざされたら?
私たちが生きる世界は、きっと大切なものをそぎ落とされ、瘦せ細ってしまうのではないか?
番組に出てきた女子高生たちほどクリエイティブになれないまでも、せめてこのくらいの自戒は忘れずにいたい。
そう思います。
ではでは、また。
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