アラフィフ男の公開キャリアカウンセリング03

本気の進路相談室

質問と応答で顕わになる「私」

私は平成元年に大学の学部を卒業して
小さな出版社に就職し、
最初の約20年間は営業の仕事をしてきた。

続く約10年間、
私は出版の企画プロデュースの仕事をしてきた……

2019年7月28日に「しかのいえ」で開催した
「大人のための本気の進路相談室」で、
私が目の前のお客様たちにした「自己紹介」は、
要約するとこのようなものになった。

以下は、
その後で出てきた
私に対する質問とワークの一部だ。

======================

【質問1】(ファシリテーターの飛鳥井さんから)

ライフチャートを見ると、
公私に渡って「本」との関わりが深いようだ。
あなたにとって「本」とは何ですか?

【答え1】

ひと口で言うのは難しいが、
個人的に読んできた本と、
仕事で関わってきた本とは全く違う。

個人的には、
その時々に惹きつけられた作家や著者の本を
まとめて繰り返し読む傾向があるようだ。

仕事で関わってきた本の内容は、
必ずしも自分自身の興味関心と
重なるものばかりではなかった。

【質問2】(飛鳥井さんから)

あなたにとって、
1995年の阪神淡路大震災と
地下鉄サリン事件とは?

(※注:飛鳥井さんがこの質問を出したのは、
ライフチャートに
社会的な事件が入ってくることが
比較的珍しいからという理由もあった。)

【答え2】

いずれも大きな衝撃を受けた。

地下鉄サリン事件を起こした
オウム真理教に対しては、
強い不快感、
神経を逆なでされるような
感じを覚えていた。

にも関わらず、
自分とは無縁のものと
切って捨てられない感覚もあり、
容易に反対できない自分がいた。

オウム的なものに対峙するための
自分なりの立ち位置を、
その後ある程度はっきりさせる
ことはできたものの、
この問題については、
今もずっと考え続けている。

(※注:私の発言の後で、
お客様たちに対しても、
数名に分かれて地下鉄サリン事件について
考えを述べ合うワークが課される)

【質問3】(お客様から)

仕事をしてきた中で一番の喜びは?

【答え3】

時間はかかったが、
コミットできる著者と私自身と、
双方に納得のいく
本作りができるようになってきたこと。

【質問4】(飛鳥井さんから)

営業の仕事で大切にしてきたことは?

【答え4】

「売ろう」としないこと。

書店さんや取次さんに、
自社・他社の別を問わず
良い商品(本)の情報を
教えてあげられること。

聞く耳を持ってもらうための
信頼関係を作ることが第一。

【質問5】(お客様から)

中学生の時にバドミントン部に所属、
高校生から合気道部に移った経緯について。

【答え5】

「楽そうだ」と思ってバドミントン部にしたのだが、
実際には運動量が激しいスポーツで
とてもハードだった。

友だちの誘いで町の空手道場に
通い始めたことをきっかけに、
高校では格闘技系の合気道部に入部。

(※注:流派が違っていたので空手部には
入らなかった。)

合気道は決して嫌いではなかったけれど、
高校2年になる直前、
卒業していく先輩たちの歓送会で
「余興」をやるのが嫌でいやで、
友だちと2人で退部。

退部直後から、
一緒に辞めた友人と、
体を動かし運動をするサークルを作り、
放課後に活動を始めた。

2人でランニングをし、
体をほぐして基本的な筋トレをこなし、
その後で私は空手の
友人は中国拳法の稽古をした。

これは学校非公認の活動だったが、
徐々に仲間も増え卒業まで継続。

宣伝も何もしていないのに、
一時は後輩が入ることもあった。

【質問6】(飛鳥井さんから)

本作りの仕事でコミットできたのはどういう人?

【答え6】

一生懸命な人に共感する。

お仕着せでない、
自分で作り上げた
行動や考えの「軸」を持っているが、
それを他人に押し付けないような人。

職人気質の人……

======================

……こうして、
約90分間のイベントは
あっという間に終盤に近づき、
飛鳥井さんはお客様たちに
最後のワークを課した。

「はい、それではみなさん、
これまでいろいろとお話を
お聞きしてきたこちらの青介さんは、
どんな人だと思いますか?

各自メモにまとめてから、
グループに分かれて話し合ってください。

グループの中で今日一番遠くから
いらっしゃった方に、
それぞれ意見を取りまとめて
発表していただきます」

これだけたくさんの方々に対して
一度に自分のことをさらけ出し、
自分という人間について
集中して考えてもらい、
その結果を教えていただくなんて
生まれて初めての経験だった。

メモをまとめ、
小さなグループに分かれて
わいわいと話し合っている
20名の方々の様子を見ながら、
本当に貴重なこと、
ありがたいことだと、
感謝の念がしみじみ湧いてきた。

私の隣で、
お客様たちの様子に
楽しそうに時々目をやりながら、
飛鳥井さんは言った。

「青介さんが好きな人って、
青介さんによく似た人ですね。
自分の好きなことに打ちこんでいて、
職人気質で……」

びっくりした。

私はかなり人の好みが激しい方だとは
思っていたけれど、
これまでそんな風に
考えたことはなかったから。

でも、言われてみれば確かにそうだ。

「類は友を呼ぶ」の言葉通り、
全然珍しいことではないし、
人様の姿を見て
そう感じることも多々あったけれど、
何のことはない、
自分も「それ」だったのだ。

こんなに平凡でありふれた事実を
生きていることさえ、
私は自覚出来ていなかったかったのか?……

いや、ちょっと待ってくれ。

この後私は、お客様たちから、
一体何を教えてもらうことになるのだろう?

感謝の念はそのままに、
ひどく恐ろしくもなってきた。

続きます

★Photo by #すけしゅー

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「暮らし」から「つながり」と「仕事」を作る実験室
暮らすLaboratory しかのいえ
公式サイト https://shikanoie.com

コメント

  1. […] (続きます) […]

  2. […] ところが既に書いた通り、 お客様を前にして 思わず私の口を衝いて出たのは 「今していること」ではなく 「これまでしてきたこと」、 30年以上勤めてきた 会社での仕事の話だった。 […]

タイトルとURLをコピーしました