これから消える本 これからも残る本 03

本の出版

昨日2/20にアップした
こちらの文章の続きです。

「本」がサポートしてくれる
二つ目の行為「トリップ」について。

よろしければご一読ください。

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【これから消える本 これからも残る本】

◆2.本が助ける「4つの行為」とは?②◆

《レベル2・トリップ》

日々のすきま時間を「暇つぶし」用の
コンテンツでやり過ごしながら、
生活をスムーズに
回していくだけでことが済むなら、
きっと「本」は今よりももっと
悲惨な境遇に追い込まれていたはずです。

でも、そうはならなかった。

生活が滞りなく流れて
安定すればするほど、
私たちはそれに飽きて
倦み疲れてしまうことがあるからです。

退屈な繰り返しの中で意識は停滞し、
活動意欲は落ちまくる。

そんな時、私たちはどうするでしょう?

散歩に出かける。

映画館に足を運ぶ。

テーマパークに行ってみる。

思い切って旅に出ることもあります。

つまり日々のルーチンから
一旦身を引き離し、
見慣れた景色を
いつもと違う角度から眺めてみたり、
初めての土地や虚構の世界や
刺激的なスポットの
新鮮な風光に触れたりして、
リフレッシュして
またいつものルーチンへと
還ってこようとします。

時間はどのくらい必要でしょう?

散歩で払しょくできるくらいの心の停滞なら、
30分もあればいいでしょう。

でも、それでは焼け石に水、
全然効果がないこともあります。

半日、せめて一泊二日くらいは欲しい、
そんな風に思うこともあるでしょう。

では旅に出るだけの余裕がなかったら?

ご安心ください、
たとえば大好きな小説家の
長編小説や落ち着いた長めのエッセイを、
自宅の居間で寛ぎながら楽しむのも
立派な「トリップ」、
日常生活からの離脱経験になってくれます。

これは、先ほどの一覧で言うなら、
本による2の行為のサポートです。

外出先や旅行先ですっかり楽しんで、
「浮世を忘れる」思いを
味わったことのある方も多いと思いますが、
ある種の本はこれと全く同じ役目を
果たしてくれるわけです。

以前、スティーブン・キングの
長いながい長編小説の翻訳ものが
出版されるたびに、
必ず休みを取って
読破することを趣味にしている
取次会社のご担当の方が
いらっしゃいました。

今、数年おきに刊行される
村上春樹さんの長編小説や、
他の作家の作品で
同じことをしている方も
少なくないのではないでしょうか?

このレベルまで来ると、
本の活躍のフィールドは
ぐんと広がってきます。

封切られたばかりの話題の映画や、
ネットの動画配信サービスなどを
向うに回して十分戦える
可能性が出てくる。

もしもあなたが、
読者が目の前の現実を
忘れてしまうくらい強烈で、
時間をかけて楽しめる
テキストのコンテンツを持っているなら、
本の出版を検討する価値は十分あります。

あるいは思わず涙してしまうほどの
「感動」というファクターが入っていれば、
コンテンツの価値は
さらに高まるでしょう。

小説の例ばかり出しましたが、
フィクション、
ノンフィクションの別は問いません。

一定の時間、
思わず読者がその世界に没入し
その世界を体験してしまうような
コンテンツであれば良いのです。

ポイントは、
日常と非日常との往復、
有効な「トリップ」を
読者に提供できるかできないか、
そこにあります。

(つづきます)

「暮らし」から「つながり」と「仕事」を作る実験室
暮らすLaboratory しかのいえ
公式サイト https://shikanoie.com

コメント

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